保育士が知っておきたい子育て支援と健全育成

保育士が知っておきたい子育て支援と健全育成

子どもを取り巻く環境や、子どもの成長は、
高度経済成長を経て大きく変化し、
同時に、子育て環境や子どもを巡る価値観も大きく変化しました。
保育士さんには、しっかりと知ってもらいたい事項です。

 

(1) 少子化の進行

 

日本の社会では、1950年代ごろから出生率低下が本格的に加速してきました。

 

さらに、1970年代になるとさらに出生率が低下し、
その後もますます減少傾向にあります。

 

(2) 少子化の影響

 

少子化という問題が加速している現代の日本社会ですが、
1997年、少子化問題について初めて正面から取り上げられ、
影響や要因、背景について総合的な分析が行われました。

 

その「少子化に関する基本的考え方について」という報告書によると、
少子化が与える影響は、以下のようにまとめられています。

 

経済面の影響

 

・労働力の減少
・経済成長率低下の可能性
・現役世代の社会保障費等の負担の増大
・現役世代の手取り所得の低迷

 

社会面の影響

 

・単身世帯の増加
・子供がいない家庭の増加
・子どもの健全な成長への影響
・医療や福祉のサービス提供の困難化

 

また、少子化が加速する原因としては、
未婚率の上昇にあるとされています。

 

未婚率が上昇しているのは、「育児の負担感や仕事と子育ての両立の負担感」、
「個人の結婚観や価値観の変化」、
「親から自立して結婚生活を営む事への不安感」などであるとしています。

 

そして、この少子化問題の影響や未婚率の上昇に対応する政策としては、
固定的な男女の役割分業や雇用慣行の是正と、
育児と仕事の両立に向けた子育て支援が必要であるということが挙げられ、
この考え方は、その後の子育て支援施策の基本になりました。

 

(3) 少子社会での子育ての困難性

 

少子化が広く認識されている昨今、
子育てに対する社会的支援の必要性が叫ばれていますが、
1950年代頃から徐々に少子化は進みつつありました。

 

このような中、「子どもを可愛く思うことができない」、
「子育ても大事で子どももかわいいけれど、自分の生活も大切にしたい」など、
子育て中の母親からは切実な悩みや思いを抱えているということが、
さまざまな調査研究により明らかにされています。

 

子育ての責任を母親に押し付ける社会

 

高度成長期の保育政策では、
家庭内保育の重要性と親(特に母親)の育児責任が強調され、
育児を家庭内で行うことが、
日本の経済的発展を支える社会になるという考え方が強調されてきました。

 

そして、「3歳までは子どもを家におき、家庭内で母親が自分の手で育てるのが良い。」
という、「3歳児親和」が強調され、
子育てを母親のみのものとする社会意識が強くありました。

 

このように「男は仕事、女は家庭」と言う性別役割が内面化され、
育児に母親を縛り付けるような状況が作られてしまいました。

 

近年になって、父親の育児への関心は高くなり、
積極的に育児にかかわりたいという父親も増えてはきてはいます。

 

しかし、未だに「男は仕事」という部分が根強く、
長時間労働を抱えているので、育児にかかわりたくてもそれが不可能だという現実があります。

 

また、社会全体が効率優先で進んできたため、
小さな子どもを連れて街に出ること自体が罪悪と感じられるような状況もあります。

 

最近では、「泣く年齢の乳幼児を飛行機に乗せるのはどうか?」や、
「ベビーカーを電車に乗せるのはどうか?」というようなことも
問題になっています。

 

このような状況があり、母親は子育てに閉じ込められ、
社会からの疎外感を感じていることが多いのです。

 

乳幼児に触れた経験なく親になるという現実

 

近年の母緒のなかには、「赤ちゃんに取り扱い説明書が付いていればいいのに。」
という人もいます。

 

また、子育てに関する本を買いあさり、その本を教科書に、
その通りに行かないと焦ったり、自分の子育てに自信をなくす人もいます。

 

現在子育てをしている世代には、きょうだいが少なく、
近所とのかかわりも少ないため、自分が子どもを生むまで
赤ちゃんを抱いた事がないという人も少なくありません。

 

全く白紙の状態からスタートする子育てに、
最大のパートナーである夫、つまり子どもの父親とも
コミュニケーションを十分に取ることができず、
子育ての迷いや不安が、そのまま深い悩みとなってしまう人が多いのです。

 

昔の子育ては、幾世代かを通して鍛えられた文化の一部でした。

 

社会全体の中で、身近なコミュニティの人々の間で
「子育て」という偉業は共有され、「経験の知」として伝承されました。

 

しかし現在は、身近な人からの伝承や共有は殆どなく、
経験の知に変るものとして、ネットや書籍から情報を得ていますが、
その情報はあくまでも「平均的」なものであるため、
自分の子どもの個性を見いだせなかったり、
個性を無理に情報にあわせようとして悩んだり、
論者による見解の違いに混乱するなどし、不安や混乱で右往左往しています。